サイバーセキュリティ月間

2017年2月27日(月)

教育現場より

 鹿児島大学 学術情報基盤センター サイバーセキュリティ戦略室 室長 特任教授
 株式会社ラック 理事 佐藤 豊彦

    

 先日、小学校低学年のお子さんを持つお母さんと話す機会がありました。お子さんが学校で書いた絵や工作を家でゴミとして出す際に、お子さんの名前の部分を自分で切り取って捨てるのを目撃したそうです。ご家庭ではそのような事を言ったこともなく、お子さんに聞くと『個人情報だから気をつけよう、と学校で教わった』と教えてくれたそうです。全ての学校の指導がこのような指導をしているかどうかはわかりませんがこれを聞くと『ここまで実施していているのか』という驚きと、もう一方で体操着等への名前を記載する際には小学校からのプリントで『名前がはっきり判るように表に大きく書く』といった指導があるそうです。これにはお母さん方が『体操着』であれば『表』ではなく『裏』に目立たないように書くそうです。全てのお母さん方が同じ事をしているかどうかは判りませんが子供たちを守る為の『情報漏えい』と『犯罪』に対する指導する側である教育現場での指導のアンバランスさを感じました。結果、それぞれの自助(自分たちのことは自分たちで守る)でバランスをかろうじて保っているようにも感じました。
 
 私は、昨年より、所属していたIT企業から鹿児島大学へ赴任しています。企業・教育現場・官公庁の情報セキュリティを提案、支援していく立場から、大学という教育現場で情報セキュリティを運営し、教えていく立場に変わりました。180度の立場の変換のように感じています。鹿児島大学は学生と職員を合わせると1万人以上在籍して企業で言えば大企業です。企業の情報セキュリティ対策を支援した私にとって、大学の情報セキュリティ対策は前述した小学校と同様にやはりアンバランスさをとても感じています。教育現場である大学はもちろん情報セキュリティを重視し様々な施策を推進、実施していますが、企業と比べるとまだまだアンバランスです。そのアンバランスさの中で大学のネットワークを運用、サーバ管理を担当される各学部の先生方、事務職員の方々が実施される自助努力の推進にご尽力されている姿はとても頭が下がります。他の大学も同様な状況ではないかなと推察しています。また大学で学んでいく学生たちが一定の情報セキュリティのリテラシーを持たせ社会へ巣立たせる事も大学の重要な責任です。しかし巣立っていった学生たちが、それぞれの大学での指導が個別のアンバランスさを持ったままの指導である限り、巣立った先の企業で必ずゼロからの『再教育』が必要になってきます。これは仕方がないことなのでしょうか?企業での『再教育』をゼロからでなく必要最小限に留める為には、各教育現場の上位機関が『積極的な支援と投資の実施』と現場教育現場の自主性を重んじるという『概念的な指導』より具体的な例を提示した『具体的な指導』が必要であると考えます。もちろん『継続性』がとても重要になります。それが我が国の将来に繋がると信じています。
 

 

 

※記載内容は執筆者の知見を披露されているものであり、著作権は本人に帰属します。






 

 

  

 
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