サイバーセキュリティ月間

2017年2月14日(火)

サイバーセキュリティ分野における外交政策

 外務省
 総合外交政策局審議官、国連・サイバー政策担当大使 水嶋 光一

 
 昨年5月、G7伊勢志摩サミットが開催され、首脳によって発表された宣言に、サイバーに関する言及が盛り込まれました。G7がサイバーを取り上げたのは、2011年のフランスのドーヴィルサミット以来、5年ぶりのことでした。

 
 このG7伊勢志摩首脳宣言の中で強調されているのは、経済成長及び繁栄のための不可欠な基盤として、開かれた、信頼できる、安全なサイバー空間が極めて重要であるということです。
 
 世界中でサイバー攻撃に関する報道を毎日目にする状況になっています。サイバー攻撃は、政府を標的にしたものから、企業、報道機関、生活に欠かせない重要インフラを狙ったものまで様々なものがあります。
 
 しかも、サイバー空間は世界中で繋がっており、サイバー攻撃は容易に国境を越えてやってきます。サイバー空間における安全を守るためには、一国のみで対応を行うことは現実的には不可能であり、国際社会全体との連携や協力が不可欠です。
 
 こうした中、日本はサイバー空間に関する国際的なルール作りに積極的に参加しています。サイバー空間はいわゆる新しい空間ですが、だからといって無法地帯としてはなりません。この新しい空間にも従来の国際法が適用されるとの立場から、既に存在する国際的なルールをいかにサイバー空間に適用できるか、また、国家が自発的に守るべきルールとしてどのような規範を形成するか等の議論を深めることが必要です。実際に、このような認識から日本は、サイバー空間の安全保障に関する国連政府専門家会合に積極的に参加しています。
 
 この政府専門家会合は既に第5会期となっていますが、2013年に公表された報告書によって、サイバー空間にも既存の国際法が適用できるということに合意できたことは大きな成果と考えています。
 
 こうした国際的なルール作りと同様に重要なのが、国際社会での信頼醸成です。サイバー空間における活動は、なかなか目に見えません。しかも、容易に国境を越えます。サイバー攻撃を発端とした不測の事態を防ぐためには、相互に信頼を高めることが重要です。そのためには、対話を通じ、お互いの政策、考え方を共有することによって、透明性を高めることが必要です。日本は、様々な国とのサイバーに関する二国間協議や多国間協議を行っていますが、これが、各国との相互の意思疎通を円滑にすることに繋がり、何らかの事態が発生した際に誤解による事態の深刻化を未然に防ぐことにつながると考えています。
 
 そして、多様な国から構成される国際社会においては、サイバーセキュリティに関する意識も能力も十分でない国が存在します。世界中で繋がるサイバー空間において、いくら自国のサイバーセキュリティを強化したとしても、一国のみでサイバー攻撃に対応することは困難です。また、体制が脆弱な途上国を経由してサイバー攻撃が行われる可能性も排除できません。そのため、途上国への支援というだけでなく、日本も含めた国際社会全体にとっても重要であるとの観点から、ASEAN諸国を中心に、途上国に対する能力構築支援を進めています。
 
 増大するサイバー空間における脅威に対し、責任ある国際社会の一員としての役割を主導的に果たすためにも、このような取組を通じて国際社会全体との協力と連携を一層促進していく考えです。
 

※記載内容は執筆者の知見を披露されているものであり、著作権は本人に帰属します。







 

 

  

 
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