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  サイバーセキュリティ月間

2015年2月16日
 

初等中等段階における情報セキュリティ教育の必要性

 

学校法人尚美学園
尚美学園大学大学院 教授
小泉 力一

 

 子どもたちのスマートフォン保有率は急速に増加している。2014年の時点で、高校生で9割近く、中学生も6割近くに昇り、小学生でさえ4割近くが保有しているという(デジタルアーツ調査)。学校で“一人一台”のタブレットPCが整備される前に、子どもたちのBYODが実現してしまいそうな勢いだ。言わずもがなであるが、彼らの“操作技能”は大人顔負けである。マニュアルなど見なくても、デバイスを手にしたその日のうちに基本的な操作はマスターしてしまう。技術の進歩によりインターフェースの質が向上していることもあるが、デジタルネイティブにとってはそれが当たり前なのである。しかし、それとネットをかしこく利用していることとは別物で、ネット上のトラブルもまた年々増加の一途をたどっている。

 人類はコンピュータという便利な道具を使うために、あらゆる情報をデジタル化することを余儀なくされた。その結果として、人にとって情報そのものが見えにくくなり、その流れをつかむことがきわめて難しくなった。加えて情報の量が爆発的に増え、人は情報を読み解く力を磨かざるを得なくなった。このため、国は“情報活用能力”を育成するための教育施策(いわゆる、情報教育)を積極的に進めている。情報教育の重要性については教育界で共通理解を得ているものの、それを担える教員が足りない。多くの教員は、情報の読み解きとか、情報を利用する際の規範意識などを指導することはできる。しかし。デジタル化した情報の特性や、それがネットワーク上に流れる際の振る舞いなどのことになると、多くの教員は知識や技能が足りていない。
それは今の時代では当たり前のことで、彼らが教師教育を受けた頃は、このような時代に対応する知識や技能を十分に学んでこなかったからだ。

 国民が情報に関するセキュリティ意識を向上させ、情報安全に関わる知識や技能を身に付けるには、学校における情報セキュリティ教育が欠かせない。初等中等段階から、デジタル化の原理とかコンピュータやネットワークの仕組みを踏まえた科学的な知識や技能の教育が必要である。平成26年 6月14日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」では、「初等・中等教育段階でのプログラミング、情報セキュリティ等のIT教育の充実」が提言された。前述の「科学的な知識や技能」の育成には、デジタル化の原理に加えて、コンピュータの原理を理解するための実習としてのプログラミング学習が必要になる。プログラミング学習は、すべての子どもにプログラム技術者を目指させるのが目的ではなく、われわれが日常的に使っているスマートフォンやインターネットが、実は人が作ったプログラムというもので動作し制御されていることをキチンと理解させることにある。セキュリティ教育は情報教育のひとつのテーマとして位置付けられるが、実は、コンピュータがプログラムで動いているという原理に基づいた理解が伴う必要がある。

 やがて教壇に立つ多くの教員がデジタルネイティブだという時代になり、教科を問わず本来の情報活用能力の指導が行われる日が来るであろう。その日のために、われわれは今なにをすべきかを真剣に考える必要がある。
 
※記載内容は執筆者の知見を披露されているものであり、著作権は本人に帰属します。
 






 

 

 

 
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