サイバーセキュリティ月間

2017年2月1日(水) 

ICTがコモディティ化した時代に

 内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター
 副センター長/内閣審議官 三角 育生

 
 1980年代中ごろ、私は、大学院の研究室において連日徹夜状態(昼間は寝ていましたが)で、UNIXマシン上でC言語によるプログラミングに取り組んでいました。コンパイルの合間に晩御飯を食べに行き、戻ってくると、Syntax errorのメッセージにショックを受け、結局、コンピュータの木偶の坊にいわれなき腹を立てつつ、明け方まで、ポインターがどこを指しているかなど点検してdebugに苦労するという連日。当時は、こうしたコンピュータは、PC好きの人か、私のような研究や技術開発などの目的で特に使っている者などが主たるユーザーだったと思います。しかも、ネットワークも研究室内・大学構内などの間でネットワーク化されている程度。コンピュータやネットワークは、それらをよく理解した人々の範囲で使われていたプレミアムな存在だったといえるでしょう。
 
 それから30年以上経ち、今日、当時のコンピュータとは全く比較できない能力を有したスマートフォンなどが、ほとんどの人のポケットやカバンの中に入っており、しかも、そのスマートフォンは地球全体のネットワークに常時接続されている世の中になっています。それのみならず、家庭内の家電や防犯カメラ、さらには自動車などもネットワーク化されつつあります。すなわち、こういったハイパフォーマンスのシステムがコモディティ化している時代にあります。
 
 話は変わりますが、私は10年以上前からハイブリッド車に乗っています。低速走行時には騒音はありません。当時は、この騒音がない、というのがプレミアムだったようで、道を歩いている人から「格好良いですね」と言われた覚えがあります。回生ブレーキを用いたメカニズムも、素晴らしいと悦に浸っていました。今日、この静かな自動車が、道歩く人に気づかれにくいということで、あえて音を出すという方向にあります。回生ブレーキも、普通の油圧ブレーキと同様の感触になるように調整されています。多くの人々が使うということは、限られた人が分かっていればよい、プレミアムな存在とは違う、コモディティ化したものとなることが求められるということなのだと思います。もちろん、運転者側も、コモディティ化したとしても運転者一般の責任はありますが。
 
 そういう意味で、コモディティ化したスマートフォン、PC、インターネット、これらなどを用いて提供されるサービスについては、誰もが分かりやすく、使いやすく、安心して利用できるものであるべきということが、市場から、社会から要請されていると言えるでしょう。これらの機器やサービスは、サイバーセキュリティの観点も含めて、一般の利用者にとってどうすればよいのか、ということがとても分かりやすいものであることが求められるでしょう。同時に、一般の利用者も、サイバーセキュリティを含めて、安全に使うためにも、機器やサービスの特徴などをよく理解して活用していくことが必要になるでしょう。
 
 今回、サイバーセキュリティ月間では、コモディティ化した情報通信(ICT)機器やサービスの提供者も、利用者のみなさんも、全員参加していくことが重要だと考え、「全員参加」というメッセージを出させていただいています。こうした活動への賛同者が一人でも増えることを祈念します。
 

※記載内容は執筆者の知見を披露されているものであり、著作権は本人に帰属します。







 

 

 

 
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