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より安全なサイバー空間構築のための協力
内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター
副センター長
三角 育生

 
今日、私たちは社会的、産業的な革新の新時代を生きています。ICTは、我々に偉大な利便性を提供し続けてくれます。高度なロボットや3Dプリンタ等、ネットワーク化された様々な種類のICT機器やシステムが、生産性の向上や事業改革に大きく貢献しています。同様に、IoTは世界的に注目される話題の最高位に位置しています。ネットワーク接続された自動車等のIoT又はIoT機器は、将来の経済成長の原動力になると考えられます。また、ブロックチェーンや人工知能(AI)等の高度な技術が改革に拍車をかけると考えられます。
 
その一方で、サイバー空間における脅威も拡大しています。昨今の悪質な攻撃者が使用する技術も、その洗練度を増しています。サイバー攻撃の数も増加しています。例えば、昨年5月には日本年金機構(JPS)に関わる大きな事件が発生しました。JPSのシステムが、スピア型フィッシング攻撃を通じて侵害され、100万人分を超える個人情報が盗み出されました。スピア型フィッシングメールのメッセージは、正しい日本語で書かれており、自動翻訳ソフトウェア等で生成されるようなものではありませんでした。一方、攻撃で使用されたマルウェアは、外国のIPアドレスにも接続していました。もう一つの例は、最近の大規模かつ長期にわたるDDoS攻撃です。DDoS攻撃は、ハッキングされたビデオカメラ等のIoT機器を使って仕掛けられたと言われています。感染した機器は、様々な国で見つかっています。この種の悪質な活動は、無限の価値を生み出すサイバー空間の進展を妨げます。
 
利害関係者間の緊密な協力がなければ、この重大な局面を乗り切ることはできないと私は考えています。世界規模で悪質な活動を打倒するためには、国際協力や地域協力、官民連携が極めて重要です。
 
昨年9月、日本は新たなサイバーセキュリティ戦略を閣議決定しました。サイバーセキュリティ戦略においては、国際協力へのコミットメントを表明しています。アジア太平洋地域は、日本と歴史的に深いつながりを持っています。この地域における人々の流れや日本企業による投資は増加しています。そして、この地域の責任あるメンバーとして、日本はサイバーセキュリティ分野の国際協力を精力的に推進する予定です。また、共有された基本的価値観を基に、日本は北米地域、ヨーロッパ、そしてその他の世界の地域との協力を推進する予定です。
 
サイバーセキュリティ戦略では、サイバー空間やそれに不可欠な技術、すなわちICTが主に民間主導の投資によって発展したことを考慮して、民間部門が果たす重要な役割も強調しています。この点において、官民連携は不可欠です。私たちは、民間部門に更なるサイバーセキュリティへの関与を促す必要があります。サイバーセキュリティ戦略に沿って策定された政策の一つとして、私たちは、安全なIoTシステムのためのセキュリティに関する一般的枠組を作りました。この枠組の目的は、サイバー空間においてより良いビジネス環境を提供することです。民間部門によるサイバーセキュリティ関連活動を促進するために、私たちは賛同する国々と協力して、安全なIoTシステムのためのセキュリティに関する一般的枠組の国際規格化を提案する予定です。
 
私は、多国間における協力や官民連携を促進することで、サイバー攻撃を阻止するために必要な安全機能を構築でき、安心・安全なサイバー空間を確保することに貢献できると確信しています。
 

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